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女のいない男たち

村上春樹の新刊を読んでいます。短編集でまだ全部読み切った訳ではありませんが、まさに春樹ワールドだなあっていう作品集です。ベースは性を取り巻く女と男の物語。表現の仕方が好きではありませんが、それでも、彼は年齢を重ねる度に確実に文章力を上げ、自分の書きたい事、伝えたい事を過不足なく書ききる力を得ていると感心します。こういう時にいつも思い出すのは処女作「風の歌を聴け」。自分の文章力のなさをさらけ出しながら、それでも必死に物語を紡いでいる姿はなかなか素敵でした。前作「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」は救いの物語でした。それは暗闇からようやく抜け出した彼の再生を意味すると思ってました。でも、この短編集はまたも心の闇に迷い込んでしまった感がします。人生、結局のところ救いなんてない、というのが彼の辿り着いた答えなのかもしれません。あと2編読んでない物語があります。底辺に流れるものはきっと同じなんだろうなあと思いつつ、また明日、読んでみようと思います。

by fogcircus | 2014-06-18 23:30 | 雑記 | Comments(0)